退職金を3種類のお金に分ける

退職金は、一つの口座にまとめたまま考えるより、使う目的と時期に応じて分けたほうが、投資に回せる金額を判断しやすくなります。

日常生活に使うお金

食費、光熱費、通信費、住宅費、保険料など、毎月の生活に必要なお金です。年金やその他の収入で不足する部分は、退職金から補うことになります。

日常生活に使う資金は、値下がりする投資信託ではなく、普通預金などから支払える状態にしておきます。

数年以内に使う予定のお金

自宅のリフォーム、車の買い替え、家族への援助、旅行、医療費など、数年以内に使う可能性がある資金です。

使う時期が近い資金を株式型投資信託で運用すると、必要なときに値下がりしている可能性があります。使途と時期が決まっているお金は、安全性と換金性を重視します。

当面使う予定がないお金

日常生活費と予定支出を差し引いた後に残る、長期で運用できる可能性がある資金です。この部分が投資信託を検討できるお金になります。

ただし、当面使う予定がないからといって、すべてを投資する必要はありません。病気や介護など、予定外の支出に備える資金も残します。

一括投資の特徴

一括投資は、投資に回せる資金をまとめて購入する方法です。資金全体を早く運用できる一方、購入直後の下落による影響も大きくなります。

早い段階から資金全体を運用できる

一括投資は、まとまった金額で投資信託を一度に購入する方法です。

購入後に市場が上昇すれば、投資した資金全体が値上がりの影響を受けます。現金のまま待機させる期間が短いため、上昇相場では積立投資より高い利益になる場合があります。

一方、購入直後に市場が下落すれば、資金全体が値下がりの影響を受けます。

損失額が大きく見えやすい

投資金額が100万円の場合、10%の値下がりによる評価損は10万円です。1,000万円を投資した場合は100万円になります。

下落率は同じでも、退職金から100万円単位の評価損が生じると、不安から売却したくなる可能性があります。

一括投資を検討する場合は、想定される下落率だけでなく、実際の金額に置き換えて耐えられるかを考えます。

購入時期の判断が難しい

「相場が下がってから購入しよう」と考えても、下落がいつ始まり、いつ終わるかを正確に予測することは困難です。

価格が下がったときには、さらに下落する不安から購入できず、上昇すると高値に見えて購入できないこともあります。

一括投資をする場合も、相場の底を当てることを前提にせず、長期保有できる金額に抑えることが重要です。

積立投資の特徴

積立投資は、購入時期を複数回に分ける方法です。一度に大きな金額を投資する不安を抑えやすい一方、上昇相場では資金の投入が遅れる場合があります。

購入時期を分けられる

積立投資は、毎月など一定の間隔で同じ投資信託を購入する方法です。

基準価額が高いときには購入できる口数が少なくなり、安いときには多くなります。購入時期を分けることで、特定の高値で全額を購入することを避けやすくなります。

ただし、積立投資でも値下がりは起こります。購入後に市場全体が下落し続ければ、評価額が投資額を下回ります。

投資を始める心理的な負担を抑えやすい

退職金を一度に投資することが不安な人でも、毎月数万円などの積立であれば始めやすい場合があります。

値動きを経験しながら、自分がどの程度の下落に耐えられるかを確認できます。積立額は後から増減や停止ができるため、生活状況に合わせて調整できます。

上昇相場では投資が遅れる

市場が積立開始後から継続して上昇した場合、一括投資よりも後から高い価格で購入することになります。

積立投資は、一括投資より必ず高い利益になる方法ではありません。購入時期を分散し、投資直後の大幅下落による影響を和らげることを目的とする方法です。