投資信託を始めようと思ったとき、多くの人がまず見るのが「おすすめ銘柄」や「人気ランキング」です。

ランキング上位の商品を見ると、「多くの人が買っているなら安心なのでは」と感じるかもしれません。たしかに、ランキングは投資信託を探すきっかけとして役立ちます。

しかし、ランキング上位の投資信託が、必ず自分に合っているとは限りません。特に50代以上が老後資金を意識して投資信託を選ぶ場合、人気だけで判断するのは注意が必要です。

この記事では、投資信託ランキングやおすすめ銘柄を見る前に確認したい選び方のポイントを、初心者にもわかりやすく解説します。

投資信託ランキングだけで選ぶのは危険?

投資信託ランキングは、販売金額、積立設定件数、値上がり率、純資産総額など、さまざまな基準で作られています。

そのため、同じ「ランキング」でも、何を基準に並べているかによって上位の商品は変わります。

たとえば、直近の値上がり率ランキングで上位の商品は、最近大きく上がった投資信託です。しかし、すでに価格が上がっているため、これから買う人にとっては高値づかみになる可能性もあります。

一方、販売件数ランキングや人気ランキングで上位の商品は、多くの人に選ばれている投資信託です。ただし、人気があることと、自分の目的に合っていることは別です。

ランキングはあくまで参考情報として使い、最終的には投資対象、手数料、リスク、自分の投資目的を確認して判断することが大切です。

おすすめ銘柄を見る前に決めたい投資目的

投資信託を選ぶ前に、まず考えたいのは「何のために投資するのか」です。

同じ投資信託でも、20代が長期の資産形成を目的に買う場合と、50代以上が老後資金を意識して買う場合では、選び方が変わります。

たとえば、長期で資産を増やしたい人は、全世界株式や米国株式などの株式型投資信託を検討することがあります。一方、値動きを抑えたい人は、債券型やバランス型の投資信託を検討する場合もあります。

おすすめ銘柄を見る前に、以下のような点を整理しておくと選びやすくなります。

  • 老後資金を準備したいのか
  • 預金だけでは不安だから少し運用したいのか
  • 短期ではなく長期で積み立てたいのか
  • 大きく増やしたいのか、値動きを抑えたいのか
  • NISA口座で買いたいのか、課税口座で買いたいのか

目的がはっきりしていないままランキングだけで選ぶと、自分にとってリスクが大きすぎる商品を買ってしまうことがあります。

投資信託選びで確認したい5つのポイント

投資対象は何か

まず確認したいのは、その投資信託が何に投資しているかです。

投資信託には、日本株に投資するもの、米国株に投資するもの、全世界株式に投資するもの、債券に投資するもの、REITに投資するものなどがあります。

また、半導体、AI、インド株、高配当株、ヘルスケアなど、特定のテーマに集中して投資する商品もあります。

投資対象が違えば、値動きの大きさもリスクも変わります。ランキング上位の商品を見るときは、まず「何に投資している商品なのか」を確認しましょう。

信託報酬は高すぎないか

信託報酬とは、投資信託を保有している間にかかる運用管理費用です。

投資信託は、買った後も運用会社や販売会社などに費用がかかります。そのため、信託報酬が高い商品を長く持つと、運用成果に影響することがあります。

特に、同じような指数に連動するインデックスファンドであれば、信託報酬の差を比較することが大切です。

一方、アクティブファンドやテーマ型ファンドは、インデックスファンドより信託報酬が高いことがあります。高い手数料を払うだけの運用内容なのか、長期で保有する価値があるのかを確認しましょう。

純資産総額は十分か

純資産総額とは、その投資信託に集まっている資金の規模を表すものです。

純資産総額が大きい投資信託は、多くの資金が集まっていると考えられます。反対に、純資産総額が小さすぎる商品は、運用が安定しにくかったり、将来的に繰上償還される可能性があったりします。

ただし、純資産総額が大きいだけで安心とは限りません。人気化して資金が集まっているだけで、今後も良い運用が続くとは限らないからです。

純資産総額は、投資対象や運用実績、手数料とあわせて見ることが大切です。

過去の成績だけで判断していないか

投資信託のランキングでは、過去1年、3年、5年のリターンが表示されていることがあります。

過去の成績が良い商品は魅力的に見えます。しかし、過去に大きく上がった商品が、これからも同じように上がるとは限りません。

特に、直近で大きく値上がりしたテーマ型ファンドは、すでに期待が価格に反映されている可能性があります。

過去の実績は参考になりますが、それだけで選ばないようにしましょう。大切なのは、なぜ上がったのか、今後も同じ成長が期待できるのか、自分が値下がりに耐えられるかを考えることです。

自分のリスク許容度に合っているか

投資信託選びで最も大切なのは、自分のリスク許容度に合っているかです。

リスク許容度とは、どのくらいの値下がりに耐えられるかという考え方です。

たとえば、株式中心の投資信託は大きなリターンを期待できる一方で、値動きも大きくなります。債券やバランス型の投資信託は比較的値動きが抑えられる傾向がありますが、元本保証ではありません。

50代以上の場合、退職までの期間、年金の見込み、生活費、医療費、家族の状況などによって取れるリスクは変わります。ランキング上位だからといって、自分に合わない商品を買う必要はありません。

インデックスファンドとアクティブファンドの違い

投資信託を選ぶときによく出てくるのが、インデックスファンドとアクティブファンドの違いです。

インデックスファンドは、日経平均株価、TOPIX、S&P500、全世界株式指数など、特定の指数に連動する運用を目指す投資信託です。

一方、アクティブファンドは、運用会社の専門家が銘柄を選び、市場平均を上回る成果を目指す投資信託です。

一般的に、インデックスファンドは仕組みがわかりやすく、信託報酬が低めの商品が多い傾向があります。アクティブファンドは運用の自由度が高い反面、信託報酬が高くなることがあります。

どちらが必ず良いというわけではありません。長期で積み立てたいのか、特定の運用方針に期待したいのかによって選び方は変わります。

人気ランキング上位でも注意したい投資信託

人気ランキング上位の商品でも、注意したい投資信託があります。

  • 直近で急に値上がりしている商品
  • 特定の国や業種に集中している商品
  • 信託報酬が高い商品
  • 純資産総額が小さい商品
  • 分配金の多さだけが目立つ商品
  • 仕組みがよくわからない商品

たとえば、半導体やAI関連のようなテーマ型ファンドは、成長期待が大きい一方で、値動きも大きくなりやすいです。

また、毎月分配型の投資信託は、分配金があるため安心に見えることがあります。しかし、分配金が出ていても、元本部分を取り崩している場合があります。

ランキング上位の商品ほど目につきやすいですが、人気がある理由とリスクをセットで確認することが必要です。

証券会社のランキングを見るときの注意点

証券会社のサイトでは、販売金額、積立件数、アクセス数、リターン、NISA買付額など、さまざまなランキングが掲載されています。

ランキングを見るときは、まず「何のランキングなのか」を確認しましょう。

販売金額ランキングは、その期間に多く買われた商品を示します。積立設定ランキングは、積立投資で選ばれている商品を示します。リターンランキングは、一定期間の成績が良かった商品を示します。

同じ投資信託でも、ランキングの種類によって順位は変わります。

また、NISAで買う場合は、その商品がNISAの対象商品かどうかも確認しましょう。金融庁は、つみたて投資枠の対象商品届出一覧を公表しており、成長投資枠で投資可能な投資信託についても確認先を案内しています。(※1)

おすすめ銘柄よりも、自分に合う投資信託を選ぶ

投資信託選びでは、「おすすめ銘柄はどれか」と考えたくなります。

しかし、本当に大切なのは、自分の目的やリスク許容度に合っているかです。

老後資金を意識している50代以上の方であれば、短期間で大きく増やすことよりも、無理なく続けられること、大きく減らしすぎないこと、手数料を抑えることが重要になります。

ランキングやおすすめ銘柄は、投資信託を探すきっかけとして使えます。ただし、それだけで買うのではなく、投資対象、信託報酬、純資産総額、運用実績、リスク、NISA対象かどうかを確認しましょう。

投資信託は、長く付き合う金融商品です。人気に流されるのではなく、自分の資産状況や目的に合った商品を選ぶことが大切です。

※本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品への投資を推奨するものではありません。投資判断は、ご自身の資産状況やリスク許容度を確認したうえで行ってください。

出典:
※1:金融庁「つみたて投資枠対象商品」