家を売るとき、多くの方がまず気にするのは「いくらで売れるか」です。ですが実際に大事なのは、売却後に手元へ残る「手取り」です。
売却では、不動産会社への手数料や各種費用がかかり、状況によっては税金の検討も必要になります。
ここでは、初めてでも考えやすいように、手取りを減らしやすいポイントを先回りして整理し、納得できる売却につなげる考え方を解説します。

手取りは売却価格から引き算で決まる

手取りは「売却価格」だけで決まらず、そこから費用と税金を差し引いた結果で決まります。

まずは手取り計算の型を作る

迷いを減らすには、最初に「手取りの型」を作ってしまうのが効果的です。紙でもメモでも構いません。おすすめは、次の3つに分けて書くことです。

  • 売却で入ってくるお金:売却代金
  • 売却で出ていくお金:仲介手数料、契約に伴う費用、片付けなどの実費
  • 売却後に払う可能性があるお金:税金(利益が出る場合)

この型があるだけで、「値下げに応じるか」「修理するか」「売却時期を変えるか」といった判断が、感覚ではなく数字で整理しやすくなります。

仲介手数料と契約条件を事前に書面で確認する

仲介手数料は金額が大きくなりやすい費用なので、契約前に上限の考え方と支払い条件を確認しておくことが大切です。

手数料は上限の考え方が示されている

国土交通省は、媒介契約の締結に際して、仲介手数料について定められた上限額の範囲内であらかじめ合意しておく重要性を案内しています。
つまり、契約前に「いくらになる想定か」を、見積もりの形で確認しておくのが基本です。

いつ、何に対して支払うのかを整理する

仲介手数料は、支払いのタイミング(売買契約時・引渡し時など)や、税込・税抜の扱いなど、説明の受け方で印象が変わることがあります。
「支払う時期」「金額の算定方法」「追加費用が発生する条件」を、口頭だけで終わらせず、書面で確認しておくと安心です。

譲渡所得の仕組みを知って税金の見通しを立てる

税金の不安は、計算の枠組みを知るだけでも小さくなります。

税金は売却額そのものではなく利益をベースに考える

国税庁の案内では、土地や建物を譲渡したときの譲渡所得は、収入金額から取得費と譲渡費用を差し引き、さらに特別控除がある場合は控除した残りを基に考える形で整理されています。
ここで重要なのは、「売却額が高い=税金が増える」と単純には言えない点です。取得費や譲渡費用の整理で見え方が変わるため、先に材料をそろえることが手取り対策になります。

所有期間で区分が変わるため売却時期も影響する

譲渡した年の1月1日時点で所有期間が一定年数を超えるかどうかで区分が変わる、という考え方が示されています。
そのため、「いつ売るか」で税金の扱いが変わる可能性があります。住み替えや資金計画と合わせて、売却のタイミングを検討する価値があります。

3,000万円特別控除など使える特例を確認する

条件に当てはまると税負担が大きく変わる特例があるため、該当するかを早めに確認すると手取りの見通しが立ちやすくなります。

マイホームを売った場合の特例がある

国税庁の案内では、マイホーム(居住用財産)を売った場合に、譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる特例があることが示されています。
ただし、適用には要件があります。自分の状況で使えるかは、売却を本格化する前に確認しておくと、あとから慌てにくくなります。

取得費と譲渡費用の資料を集めて課税額のブレを減らす

資料がそろうほど計算が安定し、税金や手取りの見通しが立てやすくなります。

最低限そろえたい資料のイメージ

  • 購入時の契約書や重要事項説明書など、購入金額が分かるもの
  • 購入時の諸費用が分かるもの(手数料や税など、資料が残っていれば)
  • 売却で支払う費用の見積もり(仲介手数料、測量、片付け、必要な修理など)

「古くて資料がない」という場合でも、国税庁は取得費が分からないときの考え方も含め、譲渡所得の計算に関する情報を整理しています。
分からないまま進めるより、早めに論点として把握しておくことで、手取りの見通しが突然変わるリスクを減らせます。

売却後に困らない資金の置き方を決める

売却後のお金の動きを先に想定しておくと、手取りを守りやすくなります。

手取りが入ったあとに出ていくお金を先取りで確保する

売却後は、引っ越し費用や住み替え費用など、まとまった支出が重なることがあります。さらに、利益が出る場合は税金の申告・納付が関係します。
そのため、売却代金が入ったらすぐ使い切るのではなく、「今後出ていく分」を分けて確保するルールを決めておくと安心です。

迷う場合は数字が固まる順に意思決定する

手取りを増やすコツは、最初から完璧に決め切ることではありません。まずは手取り計算の型を作り、不動産会社から費用の見積もりと販売計画をもらい、
次に税金面で気になる点を整理していくと、判断がぶれにくくなります。

出典:国税庁 タックスアンサー(No.1440 譲渡所得)国税庁 タックスアンサー(No.3302 マイホームを売ったときの特例)国土交通省 <消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ