家の売却で「どこに頼むか」は、想像以上に結果へ影響します。理由はシンプルで、不動産会社によって、価格の決め方、売り出し方、連絡の丁寧さ、説明の分かりやすさが変わるからです。
そして初心者が一番つまずきやすいのが、「査定額が高い会社=良い会社」と思い込んでしまうことです。
ここでは、査定額の見方を整えたうえで、不動産会社を見極めるための具体的なポイントを、順番に整理します。
査定額は数字より根拠を見比べる
査定額は、金額そのものではなく「その金額で売れる理由」が説明できるかで比較すると失敗しにくくなります。
高い査定額が出るのは良いこととは限らない
売主にとって高い査定は魅力的ですが、「売り出し後に反響が弱く、結局大きく値下げする」流れになると、時間も気力も消耗します。
まずは、査定が高い理由が、周辺の取引状況や物件の強みに基づいているのかを確認しましょう。
査定書で必ず確認したいポイント
- 周辺の取引状況をどう見ているか(似た条件の事例を使って説明できるか)
- 売り出し価格と、現実的な成約見込みの価格の考え方が分かれているか
- 想定する販売期間と、その根拠があるか
- 反響が弱いときの見直し方針があるか(いつ、何を基準に、どう調整するか)
ここが丁寧な会社ほど、売却の途中で「聞いていない」「急に話が変わった」が起きにくくなります。
媒介契約の違いを理解して自分に合う形を選ぶ
不動産会社への依頼は媒介契約で行い、契約には複数の種類があるため、特徴を理解して選ぶことが重要です。
窓口を一本化するか、複数社に広く頼むかを決める
連絡や調整の手間を減らしたい場合は窓口が一本の形が向きやすく、広く買い手を探したい場合は複数社に依頼する考え方もあります。
どちらが正解というより、「何を優先するか」で向き不向きが変わります。
契約前に確認しておきたいこと
- 売り出し情報をどの範囲まで公開する想定か(近所に知られたくない等の希望がある場合は特に)
- 販売活動の内容が具体的か(写真、内見対応、広告、情報発信など)
- 連絡の頻度と方法が自分に合うか(電話中心か、メール中心か等)
契約の種類や販売方針は、物件や事情によって合う形が変わるため、希望を言葉にしてから相談すると判断しやすくなります。
売主が確認できる情報を使って不安を減らす
取引の状況を確認できる仕組みを知っておくと、売却中の不安や疑問が小さくなります。
レインズに登録された物件は状況を確認できる
国土交通省は、指定流通機構「レインズ」(不動産会社間の物件検索システム)について、売却物件情報等が登録されると全国の不動産会社が閲覧できること、
さらに売主が登録状況を確認できる仕組みがあることを説明しています。
物件がレインズに登録された場合、登録証明書に記載された情報を使って、売主が専用画面で取引状況を確認できます。
不安を感じたら遠慮せず確認する
「今どのくらい問い合わせがあるのか」「内見の反応はどうか」「価格を見直すなら何が根拠か」など、途中で気になる点は出てきます。
良い不動産会社ほど、質問に対して具体的に説明し、次の打ち手を提案してくれます。
仲介手数料と費用は事前に書面で合意する
費用面のトラブルを避けるには、仲介手数料と追加費用の扱いを契約前に書面で確認して合意しておくことが大切です。
仲介手数料は上限があり合意が重要とされている
国土交通省は、仲介により契約が成立した場合に不動産会社が受領できる仲介手数料について、法律に基づく告示で上限額が定められていること、
そして媒介契約の締結に際して上限額の範囲内であらかじめ合意しておく重要性を示しています。
そのため、契約前に「いくらになる想定か」を見積もりの形で確認しておくと安心です。
追加でお金がかかる場面を先に確認する
売却は物件ごとに事情が違うため、測量、片付け、修理、書類取得など、必要になる作業が変わります。
どこまでが標準対応で、どこからが別費用になるのかを、最初に整理しておくと「あとから聞いていない」が起きにくくなります。
切り替え判断の基準を持っておく
不動産会社を選ぶときは、契約後に困らないように「合わないサイン」を自分の中で決めておくと安心です。
注意したいサインの例
- 査定の理由が曖昧で、質問しても説明が増えない
- 売り出し後の報告が少なく、状況が分からない
- 反響が弱い理由の分析がなく、値下げだけを急ぐ
- こちらの希望(期限、近所への配慮、内見対応など)を軽く扱う
判断を急がず比較してから決める
売却は大きな取引なので、最初から一社に決め切るよりも、説明の丁寧さや根拠の出し方を比べてから決めるほうが納得しやすいです。
査定額の高さだけでなく、「売れる道筋」と「費用の見通し」をセットで説明してくれる会社を選ぶと、売却の途中で迷いが減ります。





