「実家を売る」と聞くだけで、何から手を付ければいいか迷いやすいと思います。
実家の売却は、金額が大きいだけでなく、家族の気持ちや手続きも絡むため、進め方次第で結果が大きく変わります。
そこで本記事では、初心者でも判断を誤りにくいように「相場」「手取り」「トラブル回避」の3つの視点で、売却前に押さえるポイントを整理します。
視点1 相場を把握して売り出し価格を決める
相場を知らないまま売り出すと、安く売り過ぎたり、逆に高過ぎて売れ残ったりしやすくなります。
まずは公的な取引価格データで目線をそろえる
近隣の成約水準をつかむには、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で取引価格(成約価格)情報を確認するのが安全です。
地域・物件種別・面積などで絞って見ることで、「そのエリアで実際に動いた価格帯」を把握できます。
公的データを先に見ておくと、不動産会社の査定結果を受け取ったときに、根拠の薄い高値・安値に振り回されにくくなります。
査定は1社の結果だけで決めない
査定額は「売れる可能性が高い価格」と一致するとは限りません。
会社ごとに得意エリアや販売戦略が違うため、提示される価格レンジにも差が出ます。
複数社の査定を見比べるときは、金額そのものよりも「その価格で売れる理由(直近の成約事例、買い手像、想定販売期間)」が説明されているかを重視すると判断しやすいです。
売却までの時間軸を先に決める
「いつまでに現金化したいか」で、現実的な売り出し価格は変わります。
急ぐなら反響が出やすい価格設定が必要になり、時間を取れるなら段階的に見直す戦略も選べます。
特に実家が遠方の場合、内見対応や立ち会いの負担もあるため、売却の期限感を家族で共有しておくと後から揉めにくいです。
視点2 税金と費用を整理して手取りを見積もる
「いくらで売れるか」だけでなく、「最終的にいくら残るか」を先に計算しておくと、判断が安定します。
譲渡所得の考え方を知っておく
不動産を売ったときの税金は、売却額そのものにかかるのではなく、原則として譲渡所得(利益)をもとに計算します。
国税庁の案内では、譲渡所得は「収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額」という考え方で整理されています。
取得費が分からない場合の扱い、譲渡費用に入るもの(仲介手数料等)、一定要件を満たす場合の特別控除(例:居住用財産の特別控除)など、
事前に枠組みだけでも把握すると「思ったより税金が増えた」という事故を避けやすくなります。
仲介手数料は上限ルールを前提に合意する
仲介手数料は、媒介を依頼する不動産会社に支払う費用で、国土交通省が「上限額の範囲内で事前に合意しておくことが重要」と注意喚起しています。
金額は物件価格に応じた上限の考え方があり、物件価格が一定以下の場合の特例も示されています。
契約の前に、いくら支払う前提なのか、いつ支払うのか(契約時・決済時など)を見積書ベースで確認しておくと安心です。
売却に伴う見落としがちな支出を棚卸しする
売却時に発生しやすいのは、仲介手数料だけではありません。
境界が不明確なら測量が必要になることがありますし、建物の状態によっては片付け・清掃・簡易補修、残置物の処分費がかかる場合があります。
さらに、相続が絡むなら登記の整理など、先にやるべき手続きが増えます。
「価格の比較」だけでなく「売却前後の支出」を洗い出しておくと、手取りのブレが小さくなります。
視点3 手続きとトラブル要因を先回りで潰す
実家売却は、書類・権利関係・物件状態のどれかで詰まりやすいので、最初に地雷を確認しておくことが重要です。
名義と権利関係を最初に確認する
売却の主体が誰か(単独名義か共有か)、相続登記が済んでいるか、住宅ローンが残っていないかなどは、売却の可否や段取りに直結します。
共有者がいる場合、進め方の合意が必要になり、後半で意見が割れると売却が止まることがあります。
早い段階で家族の意思決定者と連絡手段を決め、「誰が何を判断するか」を整理しておくと、時間ロスを減らせます。
物件の状態は隠すより説明できるが強い
中古住宅の取引では、建物の状態が価格交渉や不安材料になりやすいです。
国土交通省は、第三者が客観的に住宅の状態を把握するための「インスペクション(既存住宅の点検・調査)」に関する情報を提供しており、
目視等を中心とした基礎的な検査の位置づけも示しています。
最初から「何が分かっていて、何が未確認か」を説明できる状態にすると、買主の不安を抑えやすく、交渉が必要になったとしても進行が安定します。
売却方法の違いを理解して選ぶ
一般的な方法は、不動産会社に仲介を依頼して買主を探す形です。
一方で、条件によっては買取(不動産会社が買主になる)を検討するケースもあります。
ここで大切なのは「スピード重視か、価格重視か、手間を減らしたいか」という優先順位です。
優先順位が決まっていれば、提案を受けたときに迷いが減ります。
遠方実家は段取りを少ない往復で組む
実家が遠方だと、片付け、書類の受け渡し、内見対応、契約・決済の立ち会いなど、想定以上に移動が増えます。
現地対応を誰が担うか、鍵の管理、貴重品や重要書類の保管場所、写真や動画で共有するルールなどを先に決めておくと、ストレスが大きく減ります。
実家の売却は、相場だけを見ても、税金だけを見ても、うまくいきません。
「相場」「手取り」「トラブル回避」を同時に見ておくことで、判断がぶれにくくなります。
まずは公的な取引価格データで相場の目線を作り、税金と費用の枠組みを確認し、名義・状態・手続きの詰まりポイントを前倒しで整理していくと、
初心者でも失敗しにくい進め方になります。





