内見は楽しい反面、気分が上がるほど「見たいものだけ見る」状態になりがちです。写真映えや新しさに引っ張られると、住み始めてからの不便や追加費用に気づきにくい。現地で必ず確認したい見落としポイントを10個に絞って整理します。

なぜ内見は「盛り上がるほど危ない」のか

内見は短時間で判断する場です。広い、きれい、日当たりが良いなど、プラスの情報が先に入ると、脳は都合よく欠点を小さく扱います。さらに「今日決めたら条件がいい」などの空気が重なると、確認作業が雑になりやすいです。テンションを下げる必要はありませんが、確認する順番だけは「決める前提」ではなく「落とし穴を探す前提」に切り替えるのがコツです。

内見で見落とすポイント10

1. 匂いと湿気

入った瞬間の匂いは意外と重要です。カビっぽさ、排水の匂い、芳香剤の強さは要注意。湿気が多い家は、結露・カビ・ダニの原因になり、家具や衣類にも影響します。

現地でやること

  • 収納の扉、洗面台下、浴室周りを開けて匂いと湿気を確認する
  • 窓枠やサッシの角に黒ずみがないか見る

2. 窓の向きより「周辺の抜け」

南向きでも、目の前に建物があれば暗いことがあります。逆に東西向きでも、抜けがあれば十分に明るいケースもあります。方角だけで判断せず、実際の光の入り方と視界の抜けを見ます。

現地でやること

  • カーテンを開け、窓の外に何が見えるか確認する
  • 隣家との距離感、視線が合う位置関係を把握する

3. 音は「止めた状態」で分かる

内見中は会話や足音で外の音がかき消されます。住んでから辛いのは、道路、線路、店舗、近隣の生活音が継続して入るパターンです。

現地でやること

  • 全員で30秒黙って、窓を閉めた状態と開けた状態を比べる
  • 換気扇や給湯器の作動音も確認する

4. コンセントと家具配置の相性

暮らし始めて困りやすいのが、コンセントの数や位置です。ソファ、ベッド、テレビ、ルーター、掃除機など、家電の置き方が現実的かを見ます。

現地でやること

  • 置きたい家具のサイズをメモし、壁面の長さと合わせる
  • テレビ周りに差し込み口が集中しているか確認する

5. 収納は「量」より「使いやすさ」

収納が多く見えても、奥行きが深すぎたり、梁が邪魔だったり、出し入れが面倒だと活用できません。特に玄関収納、洗面所、キッチン周りは生活感が出やすい場所です。

現地でやること

  • 棚板の高さ調整ができるか、奥行きが適切かを見る
  • 掃除機、季節物、ゴミ箱の置き場所を想像する

6. 水回りの「使い勝手」と「劣化サイン」

見た目がきれいでも、排水の流れ、換気、コーキングの状態などは別問題です。水回りの不具合は修理費がかさみやすいので、違和感は軽視しないのが安全です。

現地でやること

  • 蛇口のぐらつき、扉の開閉、床のふわつきを確認する
  • 浴室の換気、壁や天井のシミを確認する

7. ベランダと外壁の細部

外の状態は「家の体力」に直結します。外壁のひび、ベランダの排水、手すりのサビなど、雨と経年の影響が出やすい場所ほどチェック価値が高いです。

現地でやること

  • ベランダの排水口が詰まりやすい形か確認する
  • 外壁の細いひびや浮き、塗装のはがれを目視する

8. 動線の「詰まり」

図面では良さそうでも、実際に歩くと狭い、ぶつかる、遠いが起きます。玄関からキッチン、洗濯機から物干し、ゴミ出しルートなど、毎日使う動線ほど差が出ます。

現地でやること

  • 買い物袋を持った想定で玄関からキッチンまで歩く
  • 洗濯の一連動作(洗う→干す→しまう)を頭の中で通す

9. 周辺環境は「平日」に本性が出る

休日の内見だけだと、通勤時間帯の混雑、保育園や学校の音、店舗の搬入、夜の雰囲気が見えにくいです。家そのものが良くても、周辺でストレスが積み上がると満足度が下がります。

現地でやること

  • 最寄り駅からの道を、昼と夜で歩く想定をする
  • 近くの道路の交通量、抜け道になっていないか見る

10. 「きれい」は演出できる

内見で一番危ないのは「きれいだったから安心」と思うことです。照明、香り、家具の配置で印象はいくらでも良くなります。見るべきは、演出では隠れない部分です。

現地でやること

  • 床の傾き、ドアの建て付け、窓の開閉の重さを見る
  • 壁紙の継ぎ目、天井のシミ、巾木の浮きを確認する

内見の現場で使える「30秒チェック」

  • 窓を閉めて30秒黙る(音チェック)
  • 収納を1つ開けて匂いを見る(湿気チェック)
  • 洗面台下を開ける(排水・カビチェック)
  • 窓の外を見て視線と抜けを確認(住み心地チェック)

この4つだけでも、テンションに流される確率が下がります。気になる点が1つでも出たら、その場でメモして「後で調べる」ではなく「その場で確認する」を優先すると判断が安定します。

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の不動産取引・契約・購入判断を推奨または保証するものではありません。物件の状態や必要な確認事項は個別事情により異なります。最終的な判断は、現地確認や契約書面、重要事項説明書等の内容を確認のうえ、ご自身の状況に合わせて行ってください。必要に応じて、不動産会社・建築士・ホームインスペクター等の専門家へご相談ください。