家賃収入は「毎月同じ」ではない

家賃収入というと「毎月決まった額が入る」と思われがちですが、実際は入る月・入らない月が混ざります。空室が出ればその瞬間から収入はゼロになり、入居が決まるまでの広告費や原状回復費も発生します。さらに、設備の故障や修繕、税金、ローン返済など「入ってくるお金」と「出ていくお金」のタイミングがズレるため、帳簿上は黒字でも手元資金が苦しくなるケースも珍しくありません。まずは「家賃=利益」ではなく「家賃=売上」に近い感覚で現実をつかむことが大切です。

入る月と入らない月がある理由

空室と募集期間で収入が途切れる

退去が出ると、その月の家賃が満額入らないことがあります。月途中の退去・入居だと日割りになることもあり、募集期間が長引けばその分だけ収入は減ります。特に、繁忙期(引っ越しが増える時期)を外して退去が重なると、想定より空室が長引くことがあります。「退去が出てもすぐ埋まる」と決めつけない前提で、空室期間を見込んだ資金計画が必要です。

家賃滞納はゼロではない

入居者がいるのに家賃が入らないケースもあります。保証会社を利用していれば一定のカバーが期待できますが、手続きや条件によって入金タイミングが遅れることもあります。滞納が長期化すると、督促や明け渡し対応で精神的な負担も増えます。家賃収入は「必ず期日に入る」ものではない、という認識を持っておくとブレが少なくなります。

更新・退去で費用がまとまって出る

退去時の原状回復、募集の広告費(仲介手数料や広告料)、清掃費などは、収入が止まる局面でまとまって発生しやすい費用です。さらに、入居が決まったとしても、初月賃料が日割りになれば「出費が先、収入は少なめ」という形になりがちです。家賃の波は、空室だけでなく「費用の出方」によっても強くなります。

家賃収入の変動要因を整理する

変動要因収入への影響よくある見落とし
空室家賃がゼロになる「すぐ埋まる」と思い込む
日割り賃料入金が満額にならない月途中の入退去を想定しない
滞納・遅延入金時期がズレる保証会社の条件を確認しない
退去関連費用支出が先行しやすい原状回復・広告費を甘く見る

手取りを左右する代表的な支出

管理費・修繕費は「毎月」も「突発」もある

マンションなら管理費・修繕積立金が毎月かかります。戸建てやアパートでも、共用部の清掃・設備点検・小修繕など、地味に支出は積み上がります。さらに、給湯器やエアコン、キッチン水栓、インターホンなど、突発的な設備交換が発生すると、一度に数万円〜十数万円単位の出費になります。家賃収入を「毎月の生活費」に直結させるほど、突発支出のダメージが大きくなります。

税金は「利益が出たら払う」だけではない

固定資産税や都市計画税は、保有しているだけで発生します。加えて、所得税や住民税は不動産所得に応じて増えることがあります。重要なのは、税金の支払い時期が家賃の入金サイクルと一致しない点です。「年に数回、まとまって出るお金」をあらかじめ別枠で確保しておくと、資金繰りのブレを抑えられます。

ローン返済は「金利」と「空室」に弱い

ローンがある場合、毎月の返済は固定的に発生します。空室で家賃が途切れても返済は待ってくれません。また、変動金利の場合は金利上昇が続くと返済額が増え、余裕が薄くなります。「家賃が入っている間は問題ない」ではなく、「入らない月が来ても耐えられるか」で安全性が変わります。

経費と現金支出は一致しない

会計上の経費(減価償却など)は現金が出ていかない一方、元本返済は現金が出ていくのに経費になりません。つまり、帳簿上は黒字でも手元資金が減ることがあります。家賃収入を評価するときは、損益だけでなく「手元に残る現金」の目線で見直すのが現実的です。

オーナーが直面しやすい出来事

入居者トラブルは「ゼロ前提」が危ない

騒音、ゴミ出し、無断転貸、ペット飼育、近隣トラブルなど、軽微でも対応に時間が取られます。管理会社が窓口になる場合でも、最終判断を求められることはあります。トラブルが起きたときに慌てないよう、入居審査の基準、禁止事項の明確化、連絡フローを事前に確認しておくと負担が減ります。

設備故障は「ある日突然」起きる

給湯器やエアコンの不調は季節によって緊急度が上がります。対応が遅れると退去リスクにもつながるため、修理の優先順位や費用感、業者手配のルールを決めておくと判断が早くなります。オーナーとしては「完璧に防ぐ」より「起きたときに素早く戻す」体制づくりが現実的です。

災害・事故は確率が低くても影響が大きい

水漏れ、火災、台風、地震などは発生頻度が高くなくても、一度起きると復旧費用や空室期間が大きくなります。保険に入っていても免責や補償範囲の違いで、想定どおりにカバーされないことがあります。保険は「入っているから安心」ではなく、補償対象と免責、入居者側の保険との役割分担まで確認しておくと安心材料になります。

不動産オーナーの心構え

生活費と投資資金を混ぜない

家賃収入を生活費の前提にすると、空室や突発修繕で一気に苦しくなります。家賃収入はまず「物件の体力を維持するお金」と捉え、修繕・税金・空室を吸収できる余力(手元資金)を優先して確保する方が、長期で安定しやすいです。

見たい数字より「耐えられる設計」を優先する

高利回りの物件は魅力的に見えますが、裏側にリスクが隠れていることもあります。大事なのは、想定どおりにいかない局面(空室が長引く、修繕が重なる、金利が上がる)が来たときに、致命傷にならない設計になっているかです。家賃収入の現実を知るほど、判断は「期待」から「耐久性」へ寄っていきます。

情報の受け取り方で結果が変わる

不動産投資は提案される数字がきれいに見えやすい分、「前提条件」を丁寧に疑う姿勢が重要です。入居が埋まり続ける想定、修繕を最小限にした想定、家賃下落を織り込まない想定など、前提が変わるだけで手残りは大きく動きます。現実を知ったうえで、次は「危ない物件をどう見抜くか」という判断軸を持つと、失敗の確率を下げやすくなります。

※免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の物件・投資手法の勧誘や助言を行うものではありません。家賃収入や利回り、費用、税金、ローン条件、法令・制度は物件や契約内容、地域、市況により異なります。最終判断はご自身の責任で行い、必要に応じて不動産会社・金融機関・税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。