「とりあえず現金で持っておけば安心」――。
そう考える人は少なくありません。
100万円というまとまったお金を手にしたとき、最もわかりやすいのが現金や銀行預金に置いておく方法です。

しかし現金は、実は見えない形で価値が減っていくリスクを抱えています。
特にインフレや金利の低さ、思わぬトラブルを考えると、全額を現金のまま置いておくのは安心のようで不安も大きいのです。

ここでは、100万円を現金で持ち続けるリスクと、それを守るための工夫を紹介します。

現金を持つリスクとは?

  • インフレによる価値の目減り
    物価が年2%ずつ上がると、5年後には100万円の価値が約90万円相当、10年後には約82万円程度に目減りします。
    預金通帳の数字は減らなくても、同じ金額で買えるものが減る「実質的な損」が起きるのです。
  • 盗難や詐欺のリスク
    家に多額の現金を置いておくと盗難の危険があります。
    また、投資や高額商品の勧誘に見せかけた詐欺も後を絶ちません。
    「現金を持っている」というだけで狙われるリスクがあるのです。
  • 銀行預金にも弱点がある
    普通預金の金利は0.001%前後。
    100万円を1年預けても利息はわずか10円程度にしかなりません。
    インフレによる価値の減少を補うには、あまりに小さい利回りです。

守りながら持つための工夫

では、現金を完全にやめるべきかといえば、そうではありません。
手元に現金を残す安心感は大切です。
しかし、100万円の全額を現金にしておくのではなく、複数の方法で守りを強めることがポイントです。

  • 個人向け国債で価値を守る
    個人向け国債の「変動10年型」は元本保証があり、金利はインフレに応じて変動します。
    預金のような安心感を持ちつつ、物価上昇にある程度対応できるのが魅力です。
    3年経てば中途換金できるため、柔軟性もあります。
  • 定期預金やキャンペーン金利を活用
    銀行によっては、0.2〜0.5%と比較的高い金利を設定している場合があります。
    普通預金より有利な条件を選ぶだけでも、リスクを減らしながら資産を守れます。
  • 分散して安全性を高める
    現金・預金・国債などに分けて持つことで、どれかにリスクがあっても全体を守れます。
    「全額を現金にする」のではなく「いくつかの安全資産に分ける」のが安心のコツです。