「普通預金よりは着実に増やしたい」「でも元本保証は外せない」。そんなニーズに合う選択肢は、実は今の金利環境だと複数あります。

本稿は元本保証が大前提という前提で、〈個人向け国債(変動10年)〉と〈ネット銀行の定期預金〉を二本柱に、実勢の金利感と使い方のコツ、注意点をまとめます。補足として〈貯蓄型保険〉も位置づけを簡潔に整理します。

個人向け国債(変動10年):直近の新発で年1.06%

個人向け国債の「変動10年」は、半年ごとに利率が見直されるタイプ。金利上昇局面では利回りの取りこぼしを抑えやすく、元本は国が保証、さらに最低利率0.05%が設定されています。

  • 直近(2025年9月募集・第186回)の利率:年1.06%
  • 利払い:半年ごと(変動)
  • 換金:発行後1年は不可。以後はいつでも可(ただし直前2回分の利子相当が差し引かれる)

100万円あたりの単純計算(税引前):年1.06%なら利息は10,600円/年。変動制のため将来は見直されますが、「預け先は国」「最低利率あり」の安心感は大きな魅力です。

出典:財務省「現在募集中の個人向け国債」SBI証券:個人向け国債

利回りが高くなった背景

ここ数年まで、日本の金利は歴史的に低水準で推移しており、個人向け国債の利回りも0.05〜0.2%程度にとどまっていました。しかし、2024年以降は状況が変わっています。

背景にあるのは、日本銀行の金融政策転換です。長らく続けてきた「マイナス金利政策」が解除され、政策金利はゼロ%台へと引き上げられました。同時に、長期金利(10年国債利回り)についても、従来の0%近辺での誘導から、より幅広い水準を容認する姿勢へと変化しています。

この結果、市場全体で国債の利回りが上昇し、それに連動して個人向け国債(変動10年)の表面利率も1%前後に上がってきたのです。

つまり「国債の利回りが高くなった=国の借入金利が上がった」ということ。借りる側にとっては負担増ですが、貸す立場(国債を買う投資家)にとってはメリットが増している、という構図です。

出典:日銀がマイナス金利政策解除で17年ぶりの利上げ| 野村総合研究所(NRI)